新潟酒蔵巡りガイド
2023.09.22
目次
新潟酒蔵巡りとは
新潟県と言えば米どころ。日本酒の原点とも言える場所です。
この地で育まれた伝統的な酒造りは、美しく恵まれた自然環境と職人たちの情熱の賜物です。
・日本のみならず世界にももっと日本酒を広めたい。
・できるだけ長く未来にこの自慢の酒を残したい。
そんな熱い思いを秘めた職人たちがたくさんいます。
「新潟酒蔵めぐり」シリーズでは、新潟の酒蔵が育んできた味わいの秘密と歴史、職人たちの思いに迫ります!
新潟の日本酒の特徴
新潟の日本酒はなぜ美味しいのか?
新潟の日本酒がおいしい理由は多岐にわたりますが、主な要因とされるものを紹介します。
①優れた水質
酒造りには水が欠かせません。新潟の酒造りにはミネラル豊富の雪解け水を含む軟水が使用されます。
硬水で仕込んだ日本酒はフルボディで濃厚な味わいになるのに対して、軟水はライトですっきりした味わいなる傾向があります。冬は積雪により安定して低温環境になり、その中で軟水を使うことで淡麗な新潟清酒ができるのです。
②高品質な米
新潟と言えば美味しいお米。そう思う人も多いでしょう。
事実、新潟は米の産出額日本一の米どころです。日本海側の特徴である夏の長い日照時間が背景にあります。
食用のお米とは別に、酒造用の酒米や酒造好適米という特別なお米も栽培されています。新潟の酒米の代表として「五百万石」という品種が農家によって特別に栽培されています。酒蔵と農家の結びつきも美味しい日本酒を支える要因の一つです。
③恵まれた環境
新潟は米作りの環境が整っています。
土壌の多くは信濃川によって運ばれる粘土質の土です。この豊かな栄養を含んだ土がおいしいお米を育てます。また、米の栽培時期の平均気温が25度前後、昼夜の気温差が激しい点なども米作りの条件が揃っています。
④技術発展への努力
新潟の酒造りの歴史において、「越後杜氏」の存在は欠かせません。越後杜氏とは、新潟県発祥の日本酒を作る代表的な杜氏集団のことです。新潟はお酒の技術集団が日本で最も多い杜氏の故郷です。
酒蔵ではお酒を造る人たちを蔵人(くらびと)、酒男(さかおとこ)などと呼びます。その親方のことは杜氏(とうじ)と呼びます。
江戸時代、米の収穫後冬は雪深いため裏作の麦も栽培できず、海も荒れて出漁できない越後の村から貧しい農民が冬場の醸造のために関八州や尾張へ出稼ぎに行ったのが発祥とされています。
受け継がれてきた越後流の技術の更なる発展を目指し、1930年に「新潟県醸造試験場」が設立されました。これにより品質向上や新潟清酒の知名度向上などの要因となりました。現在、日本酒を専門とする県立試験研究機関としては全国唯一の存在です。
1984年には、全国でも珍しい「蔵人の学校」の新潟清酒学校を設立しました。卒業生は500人以上、その後杜氏になった人は40人を超えるそうです。
その他にも、毎年4月に「越後流」独自の品評会を開催し、杜氏たちが腕を競っています。
新潟の酒蔵一覧
市島酒造株式会社
人気銘柄:王紋、純米シリーズ「夢」
こだわり:お米は、新潟県産の酒造好適米「越淡麗」や「五百万石」を良く磨いて使用。国内外から高評価を得ており、全国新酒鑑評会では7度金賞を受賞。日本酒蔵元として第1号となる女性1級技能士を輩出するなど、いち早く女性の蔵人が活躍する先駆けとなった蔵としても知られています。
菊水酒造株式会社
人気銘柄:ふなぐち菊水一番しぼり、無冠帝
こだわり:「お客様のため」の商品開発にこだわった酒蔵。蔵でしか飲めなかった生原酒をたくさんの人に吞んでもらいたい思いから製造方法から容器まで見直し、人気銘柄「ふなぐち菊水一番しぼり」が誕生。
麒麟山酒造株式会社
人気銘柄:麒麟山超辛口(通称「麟辛」)
こだわり:日本酒の中でも「地酒」を醸す蔵元。その土地で採れた米と水を使い、人々の生活に寄り添う酒を造る。麒麟山酒造といえば辛口であり、5代目齋藤徳男の「酒とは辛いもの」という信念を受け継ぎ、現在もキレのある辛口の酒造りにこだわっている。
下越酒造株式会社
人気銘柄:ほまれ麒麟、蒲原
こだわり:使用する水の主力は阿賀町の水道水(井水)。硬度調整の際には、新潟県の名水「薬師清水」を汲みに行き使用する。酒米も自社精米。
近藤酒造株式会
人気銘柄:越乃鹿六、菅名岳
こだわり:越後五泉の名峰「菅名岳」の中腹から湧き出る「どっぱら清水」を仕込みの水に使用。透明感ある淡麗な酒を造るには最適と言われる超軟水であり、辛口でもやわらかくあっさり飲み飽きない酒を造り続けてきた。
高橋酒造株式会社
人気銘柄:長陵百年樹、雪兜
こだわり:長岡空襲や新潟県中越地震などを耐え抜いた赤レンガの蔵と六角煙突は国の登録有形文化財に登録された。市場の好みに対応する新しい酒造りにも取り組み、うまみやまろみを大切にしたお酒は日々新たなファンを獲得しています。
長谷川酒造株式会社
人気銘柄:越後雪紅梅
こだわり:社員全員での酒造りにこだわっている。手作業で大きな樽の中に袋をいくつも吊るし、滴る原液を集める袋絞りの方式にこだわっている。バランスの取れた「麗しい酒」を造るように努力をしている酒蔵です。
玉川酒造株式会社
人気銘柄:玉風味、イットキー
こだわり:日本屈指の豪雪地にあり、冬の雪を大切に保管しています。平成2年に雪を利用した新しい「雪中貯蔵庫」を設置しました。年間を通して大吟醸に最適な低温環境で保存しています。この雪中貯蔵庫を中心に酒蔵見学コースもあり、年間を通して見学・試飲を受け付けています。
緑川酒造株式会社
人気銘柄:緑川、霞しぼり(季節商品)
こだわり:徹底的な衛生管理と温度管理の蔵。定期的な専門家のチェックも受け、不要な雑菌の混入を防いでいる。酒造りの基本は「おとなしく造る」を信念にしている。低温で長く貯蔵し、飲んだ時に違和感なく喉を通っていくような味わい深く食とともに楽しめる酒を造っています。
高の井酒造株式会社
人気銘柄:たかの井シリーズ、雪中貯蔵シリーズ
こだわり:4つのこだわりを掲げる酒蔵。①蔵人の技とこだわり、②原料米は100%新潟県産米、③清らかな雪どけの仕込み水、④設備投資です。最新設備を導入し、24時間体制管理による理想的な温度経過を実現している。
株式会社越後酒造場
人気銘柄:越乃八豊シリーズ
こだわり:「越乃八豊」は地区名の「豊栄」と、豊栄の発展と蔵の発展を願い「末広がりに、お客様と越後酒造場が共に豊かになる」事を願っての銘柄。全国新酒鑑評会金賞を度々受賞しています。
高野酒造株式会社
人気銘柄:純米大吟醸 越路吹雪
こだわり:2000年竣工の製造蔵は、温度・衛生管理のできる醸造設備を備えており、大吟醸から普通酒に至るまでの全酒質で手間暇のかかる長期低温発酵で醸造。その他梅の実を丸1年日本酒に漬け込んだ梅酒や、ワイン酵母での日本酒製造などチャレンジ精神旺盛な蔵元でもあります。
金升酒造株式会社
人気銘柄:金升シリーズ、初花
こだわり:地元産の米で麹を造り、飯豊山系の良質な水を用いて仕込む。酒蔵を改装した蔵カフェも人気。日本酒の仕込み水で淹れたコーヒーや「純米大吟醸ドリア」、「麩レンチトースト」など酒蔵ならではのメニューが楽しいレトロモダンな蔵カフェ。
魚沼酒造株式会社
人気銘柄:特別純米酒 天神囃子
こだわり:十日町市の山際に位置し、信濃川の伏流水で酒を仕込む。「安心・安全な酒」をモットーに、全ての酒に新潟県産の酒造米を使用しています。
宝山酒造株式会社
人気銘柄:宝山シリーズ
こだわり:明治18年創業の小さな酒蔵。創業以来心を込めた手造りの日本酒を届けるため、規模を大きくすることなく今日に至っています。酒蔵見学にも力を入れており、女将の案内で酒造りの様子を見学できます。全国から年間1万6千人も訪れる人気の蔵です。
尾畑酒造株式会社
人気銘柄:真野鶴、特別純米酒 壱穂
こだわり:明治25年創業の酒蔵。佐渡市内で育てられた酒米「五百万石」や「越淡麗」、「山田錦」などを中心に、全国平均を大きく超える平均精米歩合56%までに磨き上げて使用している。佐渡島にある廃校を酒蔵として再生させる「学校蔵の酒造り体験プログラム」も実施しています。
株式会社よしかわ杜氏の郷
人気銘柄:よしかわ杜氏、天恵楽
こだわり:吉川産の酒造好適米「五百万石」と、契約栽培による「山田錦」を使用した、生産者の顔が見える「こだわりの米」を使用。
新潟銘醸株式会社
人気銘柄:長者盛シリーズ、越の寒中梅シリーズ
こだわり:米・水・人・環境にこだわっている。原料を吟味し、米を磨き丁寧に作っています。鑑評会受賞歴もあり、県内上位の成績を修めています。
君の井酒造株式会社
人気銘柄:君の井シリーズ
こだわり:創業以来、先見の明と積極的な行動をとり、いち早く琺瑯(ほうろう)タンクを導入したり、鉄筋コンクリートの酒蔵建設などの結果、品評会・鑑評会などで数多く入賞しています。
髙千代酒造株式会社
人気銘柄:髙千代シリーズ、巻機
こだわり:徹底した水分管理と「扁平精米」の導入をしている。これにより現行精米と同じ歩合でも有害成分のより少ない白米に仕上げることができています。ITQI(国際味覚審査機構)で国際優秀味覚章7年連続三ツ星受賞でDIAMOND
TASTE AWARD2017を獲得しています。
津南醸造株式会社
人気銘柄:霧の塔、妻有郷、雪美人
こだわり:地元津南町の酒米(五百万石)農家と、津南町、JAが共同で設立した酒蔵。仕込み水は「名水の郷百選」にも選ばれた蔵の脇のわき水です。地元の酒米栽培の農家の人たちが冬の仕込み時期に参加するという究極の酒造りの環境のもと、「三段仕込み」という手法でゆっくり熟成するのもこだわりです。