3.歴史に見る日本酒の流れ
① 日本酒の始まり
稲作農耕文化→米麹→神話の酒(魏志倭人伝、風土記、古事記・日本書紀)口噛み酒、天甜酒(あまのたむさけ)(麹を用いた甘酒、酒)、八醞酒(やしおりのさけ)(何回繰り返し仕込んだ濃い酒:原料:果実・木の芽?、米?)。
② 律令時代の酒(奈良~平安)
宮中における儀式や制度を定めた「延喜式(927完成)」によると、宮中の「造みきのつかさ酒司」で15種類の酒が造られた。1段仕込の酒を濃し、更に仕込を繰り返す酒(しおり方式)、仕込水の代わりにお酒を用いた酒や、麹と麦芽を併用した酒等。
③ 日本酒造りの革新期(~室町~)室町時代 は日本の酒造りの基礎技術が発展した時代。
1.酒母(水酛)と醪の分離、
2.しおり方式から段仕込に、
3.諸白(もろはく)仕込、
4.火入れ、
5.灰の利用(御酒之日記、多門院日記)また幕府が酒屋を財源として重視したため、造り酒屋も発達した時代。
④ 元禄の諸白→灘の寒造り
生酛の確立。蔵人制度の確立、→宮水の発見、水車精米、現在の仕込に近い配合。
⑤ 明治
国立醸造試験所設立(1904年)、山廃酛(1909年)、速醸酛(1910年)の発明。
4.日本酒を形成する要因
① 仕込水:硬度により、男酒、女酒、秋上がり
② 原料米:酒米、粳米の品種と精米歩合
③ 麹:甘み、旨味、日本酒らしさに寄与、各種機能性物質の生産
④ 酵母:発酵力、香り成分、酸度に寄与 麹造りは種子を育てる畑、酵母は種子と考えられる。
⑤ 杜氏集団、各地の気候風土、料理の影響
5、「品質格付けと精米歩合、アル添加(表示義務)」
アルコール度数と唎酒審査による級別制度(特、1、2級)に代わり、特定名称酒制度が導入され、日本酒の選択に慣れない人には選択が難しくなった。基本は精米歩合とアルコールの使用の有無で8種類の特定名称酒とそれに該当しない普通酒(アルコール添加酒、糖類使用酒)に分類
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(会報誌:2022年03月)