「なぜ、スギの葉は細く、サクラの葉は広いのか」(2/3)

暮らしのヒント

針葉樹と広葉樹―内部を比べる

次に樹体の内部組織を覗いてみます。樹体は幹・葉・根で構成されていますが、その中心である幹を取り上げます。幹は外側から樹皮(外樹皮+内樹皮)、形成層、木部(辺材+心材)、髄で構成されています。

樹木生長のメカニズム
樹木生長のメカニズム:光合成と水の上昇・糖類の下降。
呼吸、樹幹組織=樹皮(外・内)・形成層・木部(辺材・心材)・髄
出典:深澤和三「樹体の解剖」海青社(下図)

木口面年輪構成
木口面年輪構成=早材から晩材への移行点
が年輪境界=細胞の大小に注目。(アカエゾマツ)

その主体である木部を電子顕微鏡で拡大すると、針葉樹に比べて広葉樹は、かなり複雑な構造に分化しています。

木材の組織構造
木材の組織構造:左―ケヤキ(還孔材)、右―ヒノキ
針葉樹は仮道管95%。広葉樹は道管・木部繊維・放射組織等に分化し複雑な構造。
出典:佐藤健「木のメカニズム」養賢堂

針葉樹は、いずれの樹種も仮道管(繊維)が95~98%を占めていますが、広葉樹は、道管、木部繊維、柔細胞、放射組織と分化し、樹種によってその構成が異なっています。この組織構造の違いが、木材の加工や利用面に大きく影響しています。例えば、薪割でスギは簡単に割れますが、コナラは技と力が必要です。適材適所の判断は、この組織構造を拠所にしています。

以上のほか針葉樹と広葉樹で異なる点は多々ありますが、身近なところで公園木や街路樹で見られる広葉樹の倒木や切り株からの萌芽(ひこばえ)の再生力には感動します。

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(会報誌:2022年07月)