特別企画「母の日」によせてⅣ

会の活動報告

企画:広報委員会
日時:3月15日必着

5月17日は母の日、その存在への想いはそれぞれ。このたびはお母様にまつわるエピソードや大切な思い出、心あたたまる素敵なメッセージをお寄せいただきました。会員読者の皆様ご応募ありがとうございました!

「母の日」に寄せて寄稿いただいたエピソードを、1つずつご紹介してきました。
今回は最終回となります。

どこかに生きながら

子ねこは、彼が生まれる前の、母ねこの生活を知ることはできなかったけれど、物心がつくと宿なしの身であって、方々を追われ、人間からいじめつづけられたのでした。母ねこは、子供をある家の破れた物置のすみへ産み落としました。ここで幾日か過ごすうちに、子ねこはやっと目が見えるようになりました。そして、母親の帰りがおそいと、空き箱の中から、明るみのある方を向いて、しきりとなくのでした。もし母ねこが、その声をききつけようものなら、急いで走ってきました。そして、箱へ飛び込むや否や、子供に乳房をふくませたのであります。(このねこの母子はどのように生きていくでしょう。未明は子ねこのようすと姉妹が感じたことをラストシーンで次のように書きました)

「この風の中を、どこへいくの?」と、少女が、いいました。子ねこは、闇の中へ飛び出して、さまよいながら、目に見えぬ影を慕うごとく、悲しい声で、なきつづけました。

「ああ、きっと、母ねこのことを思い出したのだわ。」と、姉妹は、顔を見合わせました。

あの屋根から、屋根を、子供をつれて歩いていた、やせた母ねこの姿が、二人の目にはっきりと浮かびました。

子ねこは、遠くの方まで、母を捜しにいったとみえ、風のとぎれに、そのなく声が、かすかにきかれました。かつて、寒い、寒い、木枯らしの吹く夜、そして、霜のしんしんと降る夜明け方、母ねこに抱かれて、安らかに眠った、なつかしい記憶が、はしなくも風の音によって、思い起こされたのでありましょう。
(小川 未明)

ある日、お弁当には母の思い出があるのよ、と話してくれた人がいました。それがこの企画のきっかけとなりました。ご応募を待つ間に、私は小川未明の童話を久しぶりに読んでみることにしました。

ねこの母子のことを書いた「どこかに生きながら」鳥のことを書いた「子うぐいすと母うぐいす」まだまだ沢山、よいお話があります。目をつぶるとお日さまやお月さまのような母のすがたがうかびますし、風のにおいの中に母を感じることもあります。誰にも話さなかったことかもしれません。だから母の日に花をおくるのかもしれません。

最後に小川未明の「童話」(抜粋)をご紹介させていただきました。(皆様のご協力に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。)

続いて、「父の日」によせて(会報誌6月号)の応募発表もありますので、どうかたのしみにしていてください。

会報誌「新潟縣人」はこれからも会員読者のみなさまとともに力をあわせて発行をしてまいります。ご意見ご感想などをお待ちしています。
(広報委員 清水裕美子)