郷土佐渡相川に、そして先人に感謝を込めて記念植樹

会の活動報告

創立60周年を記念して郷土相川に植樹

 今から10年前の2013年(平成25年)、東京相川会は、人間でいえば還暦にあたる創立60周年を迎えました。
 私たちはこの節目の年に先人たちが60年の長きに亘り築いてくれた郷土会が、郷土の発展に寄与し、その活動が現在も継承している証として会員の賛同を頂き記念事業を計画しました。事業内容は議論を重ね、植樹に決定しました。
 おりしも、当時の佐渡、特に相川は佐渡鉱山を世界文化遺産に登録しようとの機運が高まりを見せており、観光に寄与し機運醸成の一助になればとの思いで意見が一致しました。

 樹の種類は「桜」を予定しましたが、道路管理者(新潟県地域振興局)から根の張る樹は街路樹には相応しくないとのご指導が有り厳しい自然環境も考慮して「やまぼうし(はなみずき科)」を選択しました。場所は観光バスが佐渡の青い空をバックに街を見下ろしながら走る道路沿い(通称道遊道路)とし、何とか当年(2013年)4月初旬には100メートルほどの距離に15本の植樹をする準備が整いました。

 植樹当日の4月19日、佐渡市からは甲斐市長はじめ、これまで準備を頂いた相川支所の皆様や町の関係者、そして東京相川会からは若林会長始め役員10数名が参加して晴天下の元で賑やかな「植樹式」と成りました。この様子は当日の佐渡テレビや翌日の新潟日報紙などで報道され、東京相川会の名前を知って頂く良い機会ともなりました。

記念植樹①

手をかけて「やまぼうし」の白い花を心待ち

 その後帰省の度に会員の皆さんは、「やまぼうし」が順調に成長し、2年後3年後に白い大輪の花が咲く事を楽しみにして待っていました。
 しかし期待に反し、樹は成長するどころか、年々生気が薄れ枯れ始める物も現れる始末で、業者に保全を依頼する予算もなく、成り行きに任せるしかありませんでした。
 そんな折2019年の秋、小生が冬季を除く三シーズン佐渡相川で生活する機会に恵まれ、「やまぼうし」の面倒を見る事が出来るようになりました。早速、枡の中に茂った雑草の駆除、追肥、水の補給等、潰れることは全てやってみました。11月末に佐渡を離れる時は、防風網で木を囲い、寒風対策も試みて佐渡を離れまた。
 翌年4月に樹の成長が楽しみで勇んで佐渡に帰りましたが、この年、春から毛虫が大量発生して、新芽が被害を受け、毛虫駆除に1日に1本の樹から120匹も駆除した程でした。草取り、水遣り、追肥をし、秋には網をかけて佐渡を離れました。

記念植樹②

 翌年、何とか成果が有り、はじめて1本の木に白い花を2個つけました。楽しみにしていた矢先、初春に厳しい冷え込みが有り霜が芽を枯らしてしまいました。夏に成ってから元気な葉を茂らせただけに残念な年でした。

未だ心ざし半ばなれど先人への感謝の意を込めて

 昨年、一昨年と同じようなケアを続けていますが、林業関係の人から「残った樹はあのままで育つのでは」との意見もあり、今年から草取りくらいにして、自然体で様子を見ようかと思っております。
 我々を育ててくれた郷里への恩に報いんと会員の皆様から浄財をご寄付頂いて実施したものの、未だ心ざし半ばではありますが、沖に浮かぶ「一里島」をみる時、先人たちが喜んで応援してくれている気がし、勇気をもらっています。そしていつかはきっと大輪の花を咲かせてくれると信じて、今しばらくこの活動を続けて行く所存でおります。

(記:東京相川会副会長 石塚豊)
(会報誌:2023年4月)