盆踊りについて考える

暮らしのヒント

前田 貞芳(新潟市北区出身・武蔵大学名誉教授)

今年も暑い夏がやって来た。この時期になると必ず聞かれるのが、各地で開催される盆踊りのニュースである。
私の住んでいる多摩市でもいろいろな地区で盆踊りが開催され、古くからの盆踊りの定番の歌ともいえる炭坑節や東京音頭等が聞こえてくる。盆踊りは、日本だけでなく、日本企業が進出している東南アジア等の外国でも開催されると伝えられてくる。
その理由は、いろいろ考えられるが、少なくとも故郷を離れて暮らす人達が、故郷を懐かしみ、ともに夏の夜を楽しむことにあると考えられる。しかし、私の故郷である新潟市北区長戸呂新田を含む旧北蒲原地方では、大分前から行われることがなくなったという。人口の減少と娯楽の多様化が主な要因と考えられる。

私の幼少(1942年―1960年)の頃は、それぞれ部落毎に8月中旬のお盆に必ず盆踊りが開催され、その部落の老若男女を含めて盆踊りを楽しんだものである。ただ踊るだけではなく、仮装で踊る人もかなりいた。工夫を凝らした仮装で上手に踊った人には景品が贈られた。そこで近くの部落の人も踊りに加わることになり、踊りが好きな人は、景品を目当てに他の部落の盆踊りにも出向くことになっていた。
当時は、盆踊りは夏の風物詩のひとつとも云える一大行事といってもよかった。それはコミュニティの維持に一役買っていたと考えられる。
しかし、地方では盆踊りによるコミュニティの維持の工夫は失われ、故郷を離れて都会や外国で暮らす人々が、故郷を想いつつ盆踊りを通してひとつのコミュニティの形成を試みていると考えられる。
そうすると、現代でも盆踊りは大事な行事といえる。

どうであろうか?

(会報誌2026年6月号掲載)