住み慣れた地域で安心して暮らしていくために

暮らしのヒント

~地域活動活性化に向けた取り組み~
宇佐美 岩夫(東京河崎会・事務局長)

創立以来60年の「東京河崎会」(佐渡市)
 平成の合併により、人口約5万5千人の佐渡市が誕生した。一島一市の佐渡市誕生までには数次に亘る分離・合併の歴史がある。
 東京河崎会は、合併前の旧河崎村出身者の郷土会であり、創立以来60年が経ち、会員同士の親睦と故郷と連携するための活動に努めている。
 旧河崎村には12の地区があるが、今回は椎泊地区の地域活性化活動をご紹介する。

旧河崎村

75世帯・180人が暮らす「椎泊地区」
 椎泊地区には、約180人(75世帯)が暮らしている。稲作・果樹栽培・漁業が産業の中心で、近年、人口減と空き家・耕作放棄地の増加が目立つ。
 一方、首都圏には椎泊地区出身者が集う「椎の実会」があり、在京会員の様子を手作り新聞に掲載し、地元にも紹介している。
 近年「故郷に帰りたいけど帰れない」という会員の声を聞く。両親も亡くなり、実家の世代交代も進み、帰省の機会は益々少なくなっている。

佐渡市から無償で借り受けた「椎泊桜の家」
 過疎化が進む椎泊地区では、40~60代の働き盛りの人たちが中心となって「住み慣れた地域で安心してくらし続けられる」を合言葉に、地域活動の活性化に向けた取り組みを始めた。今から約10年前のことである。
 市から無償で借り受けた施設を「椎泊桜の家」と名付け、活動の拠点としている。
 日曜日の「ラジオ体操と茶話会」、夏の「椎泊夕市」、「お年寄りのためのゴミ出し・買い物代行」、「秋の収穫祭」、「子どもの交流会」、「地域新聞の発行」など年代に応じた様々な活動を通じて「いつかは帰りたいと思える故郷づくり」を目指している。

◎新たな活動
 本年夏に、「椎泊夕市」に椎の実会の会員が参加し、地区の人たちと交流するという行事を実施した。これは、「椎泊桜の家」と「椎の実会」の合同企画によるもので、宿泊は「椎泊桜の家」とした。
 しかしコロナ感染の拡大を受けて、参加希望者が減り、2名の参加となったが、懐かしい話に花が咲き、楽しい時間を過ごすことが出来た。

盆花やカレーライスを販売
盆花やカレーライスを販売

コロナ対策で体温測定と氏名登録
コロナ対策で体温測定と氏名登録

◎今後の展望
 「住み慣れた地区で安心して暮らしていくため」、又「いつか帰りたいと思える故郷」作りのために、「椎泊桜の家」と「椎の実会」が更に連携を深めながら取り組むことが望まれる。来年もこの事業を実施したいものである。「椎泊桜の家」に程近い県道沿いに「ひまわり畑」が広がっていた。大佐渡山脈と両津湾の「青色」と、ひまわりの「黄色」のコントラストが「映え(ばえ)」、車を止めてカメラに収めている人を多く見かけた。

金北山をバックに満開のひまわりが映える
金北山をバックに満開のひまわりが映える

(会報誌:2022年11月)