卓話者:越村 義雄 氏 (東京十日町会)
・日時:令和7年11月11日(火)
・場所:ふれあいふるさと館(県人会館)
講師の経歴

越村 義雄 氏
「日本ヒルズ・コルゲート株式会社」代表取締役社長を務めた後、(一社)「ペットフード協会」、「ペットフード公正取引協議会」の両会長に就任。
(一社)「人とペットの幸せ創造協会」「国際ビジネスコンサルティング株式会社」を立ち上げ、代表取締役社長および会長を務める。
世界人口と日本の現状
現在、世界の人口は71億人に達しています。しかし、政治や経済の不安定さ、戦争、貧困、伝染病などにより、苦しんでいる人々が世界中に多く存在しています。
日本も例外ではなく、他国の政治・経済の不安定さの影響を直接受けるグローバル化が進行しています。
一方で、日本の人口は減少を続けています。人口問題研究所の「日本の将来人口推計」によると、2050年には総人口が約9700万人、2100年には約4900万人になると予測されています。
人口が減少している国で繁栄している例はほとんどなく、日本も深刻な課題に直面しています。
高齢化とペットの役割
日本では、65歳以上の高齢者が人口の29・4%となり、高齢化が進んでいます。その中で、高齢者のQOL(生活
の質)を高める手段として、ペットの存在が非常に重要になっています。
実際に、特別養護高齢者施設にペットを寄贈した際には、入居者の皆さんが笑顔になり、大きな反響がありました。ひとり暮らしの高齢者も年々増加しており、健康寿命を延ばすためには、毎日の継続的な運動が推奨されています。
しかし、運動は楽しくなければ続きません。
犬と一緒であれば、毎日の散歩が楽しくなり、運動が習慣化され、長く続けられるようになります。
高齢になると家にこもりがちになりますが、犬との散歩を通じてご近所とのコミュニケーションが生まれます。
犬好きの方との出会いや会話の機会も増え、社会とのつながりが広がります。
日本のペット業界が直面する課題
ペット業界の最大の課題は、「夢を与えられなくなっていること」です。
「ペットに関わる仕事って素敵だ」と思ってもらえるような魅力を発信する必要があります。
業界が夢を語れなくなったとき、その文化は衰退してしまいます。夢を見られる業界にするための活動が求められています。
もう一つの課題は、ペットの高齢化です。現在、犬や猫の半数以上が7歳以上であり、1歳未満の割合はわずか4%ほどです。本来であれば、1歳未満のペットが8〜10%程度いなければ、健康な年齢構成が保てません。
このままでは、今後7〜8年で高齢ペットが一斉に亡くなり、市場が急激に縮小する恐れがあります。
教育や共生の仕組みを通じて、「若い世代が憧れる産業」へと変えていくことが不可欠です。同時に、動物と暮らす喜びを社会全体で再認識し、命と向き合う価値を取り戻すことが大切です。
高齢者支援の構想
「高齢ペットシッター協会」という構想を進めています。
この協会の目的は、高齢者が安心して暮らせる社会をつくること。いわば「老老介護」ならぬ「老老ペットケア」の仕組みです。
日本では高齢者人口が増え続けていますが、同時に高齢者の方々が最も多くの資産を保有しています。
その力を社会の中でどう生かすか、そして「老老介護」をどう解決していくかが、今後の日本にとって大きな課題です。人のケアワーカーとペットのケアワーカー、両方の役割を担える企業や人材はまだ存在していません。
だからこそ、そこに新しい可能性があると考えています。
ペットパスポートプロジェクト:共生社会の実現
「ペットパスポートプロジェクト」は、犬が一定のマナーを身につけ、社会の一員として認められる仕組みです。
犬の行動試験と飼い主の資格試験を行い、「伏せ」の号令で「静かに待てる」「吠えない」「噛まない」などの基準をクリアすれば、ペットと飼い主に「ペットパスポート」を発行します。
お店やレストランの入口には「パスポート犬OK」のピクトグラムを掲示し、安心して人店できるようにします。
飼い主と犬がマナーを学び、社会の中で共に生きるための教育活動でもあります。
ペットと暮らしていない人とも自然に触れ合える機会を生み出すことで、理解と共感の輪を広げたいと考えています。橋幸夫さんの歌「いつでも夢を」のように、このプロジェクトを通じて、人も動物も笑顔になれる未来をつくりたいと思っています。
(「ペットとの共生は、人のQOL(生活の質)を高める②」は近日公開)
(及川 恒夫・記)
