11月11日(土)上野区民館で昨年に引き続き、若波会主催による『講演と佐渡伝統芸能の集い』を開催しました。
日本の貴重な文化と言われている民謡・伝統芸能もコロナ禍を契機に衰退の傾向に有り、何とか首都圏で故郷の民謡・伝統芸能を継承していかなければならないと言う思いで、令和3年からこの様な形で『集い』を続けて来ました。
NHK・朝ドラの音楽担当阿部海太郎氏の『音楽談義』
第1部は講師に本年度NHKテレビ朝ドラ『らんまん』音楽担当の作曲家阿部海太郎先生をお迎えして『音楽談義』のお話しがはじまり、冒頭先生が幼少の頃に父親の故郷である佐渡ヶ島に度々訪れた時のお話しにとても親近感を覚えました。
また、『らんまん』で数々の楽曲を提供され、プロジェクターを使われ綺麗な楽曲も聞かせて頂きました。更には『らんまん』の主人公のモデル牧野富太郎博士の生誕の地である高知県を訪れたお話しであっという間の予定の一時間が過ぎてしまいました。
祝い唄、甚句、音頭、おけさ弾き語り…豊富なプログラム
第2部は『東京湊木遣り愛好会』による佐渡の祝い唄・湊木遣りが会場一杯に朗々と響き渡りました。
次から次へと若波会、朱鷺おけさ会、あかね会のメンバーによる甚句、音頭、おけさと披露され、また、佐渡出身のシンガーソングライターヤマトさんの熱唱、若波会会員による弾き語り『三階節』、『津軽の響き』とプログラム内容も豊富でした。
今回は特別に佐渡金山神事芸『やわらぎ』の演技が披露され、会場内の皆様から大きな注目を浴びていました。この『やわらぎ』は佐渡相川金山の金に憧れて各地からやって来た金掘り大工達が暗黒の地底と過酷な労働の中から嘆き声と共に口ずさんだであろう労働歌の『石切り歌』にその源があります。『やわらぎ』の意味は金掘り大工達が山の神の心を和(なご)め、固い岩盤が柔らかくなるように祈る気持ちに由来していると言われています。
親方の装束は鉱山で使用した筵(むしろ)やカマスの裃(かみしも)で身を包み、袴に百足の絵が描かれているのは、金の鉱脈が石英岩の中に黒い縞模様で百足の形に似ているところからきています。叩く樽は御奉行様から頂いた飲み干しの樽で、堀子は坑内の作業着のドンザに縄帯を締め、即興で作った鼻切り面を掛け酒宴で唄い踊ったのです。
掛け声の『ホウライヤ』の『蓬菜』は『めでたい』の意味です。そうして掘られた金が徳川幕府の屋台骨を支えた訳で、まさにその昔相川の隣は江戸だったのです。
講演(音楽談義)に伝統芸能・民謡にと余韻を残しながらも時間となりました。
この度は多くの皆様にご支援、ご協力を頂き心から感謝申しあげます。
ありがとうございました。
(文:若波会相談役 斉藤実)