白内障

暮らしのヒント

東京都北区 船木眼科医院院長 船木 繁雄

 白内障とは、眼内のレンズに相当する水晶体が混濁した状態を言います。症状としては、視力が低下したり、かすんで見えたり、眩しく感じたりということが挙げられます。幾つかの全身的な疾患に伴って生じることもありますが、多くの場合は加齢に基づくもので、この点から避けがたい病気であるとも言えます。

 加齢による変化の一つであるため、その進行は比較的緩徐なことが多く、ゆっくりゆっくり何年もかけて形成されるので、自覚症状に乏しいこともあります。我々検査する側の眼科医からすると、結構な白内障をお持ちの患者様でも、「見づらくないですか?」と聞いても、所見の割には意外とお困りではないことがあります。それもそのはず。白内障は、昨日と今日では大きな変化はない。また明日も大きな変化はない。それが二十年、三十年と積もり積もって結果的には、そこそこの白内障になっても、恐らくは脳の方もそのゆっくりの変化に順応して「まあいつも通りこんなもんかな」という感じなのではないでしょうか。

 でもそんな方でも、白内障の手術をして差し上げると、かなり喜んでいただけます。「ああこんなに見えるんだ。今までは本当は見えていなかったんだ。」と。近い将来、日本でも白内障両眼同日手術が主流となる日が来るかもしれませんが、現在はまだ片眼ずつ、日を改めて手術している施設の方が多い状況です。当方も片眼ずつ手術しておりますが、片眼手術施行済み、片眼未施行の状態となると、その差を強く実感しておられる方を多く拝見いたします。

 白内障の治療は、点眼薬か手術となります。ただ正直、点眼薬は気休め的なところが大きく、白内障自体をなくしてくれるほどの効果はありません。点眼しないよりはした方が、進行がややゆっくりとなる、という程度でしょうか。
 そこで手術ですが、現在はとても安全性が高く、小さな切開のみで、比較的短時間で施行することができる時代となりました。簡単に申し上げると、混濁した白内障の中身を取って、代わりに人工の眼内レンズを挿入する手術です。この眼内レンズも患者様の状態、ニーズに合わせて、通常の単焦点レンズ、あるいは乱視矯正レンズ、多焦点レンズなど様々なレンズがあります。

 ある程度のご年齢になって前述の症状をお持ちの場合は、白内障が原因である可能性は十分あるかと思いますので、そんな時には是非、眼科外来に行ってみてください。必要な時には、主治医の先生とよく相談なさって、あまりご心配なさらずに手術をご決断なされてもよろしいかと思います。

◇ありがとうございました。
(鈴木 輝雄:会報誌:2018年2月)


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