高齢化社会を迎えて

暮らしのヒント

鈴木 輝雄

私がフードサービスの世界に入って35年、加えて介護事業に携わって18年になります。
 そこで常日頃生きるという事を考えながらどうしたら悔いのない人生を、楽しく有意義な時間を過ごせるかと思いめぐらせています。

 人間だけでなくあらゆる生物には寿命があります。有名な織田信長は人生50年と言いました。
 先日の新聞に掲載されていましたが人は125歳まで生きる可能性があるが ただそこまで生きる人はまだいない。以前から人には64の特殊な因子(長寿遺伝子)がありそれが一ずつ無くなって寿命となるという説も聞きました。

 1997年にフランスの女性が122歳で亡くなった。これが現在認められている世界記録(ギネス記録)です。2015年現在日本では百歳以上の長寿者が61,568人います。厚生労働省の資料によると1963年で153人・1981年に千人を超え。1998年に1万人、2012年で5万人となり現在に至っています。世界で見ると、百歳以上の人口はアメリカ約7万2千人、日本6万1千人、中国4万8千人、インド2万7千人、イタリア2万5千人ですが、人口十万人当りとなると日本48人・イタリア41人・アメリカ22人・中国3人・インド2人となります。日本人の長寿が解ります。

 高齢者人口は所謂「団塊の世代」(昭和22年から24年生まれ)が65歳以上となる平成27年には3,395万人となりその後も増加して平成54年に3,878万人でピークとなり減少に転じますが高齢化率は上昇します。男性の平均寿命は昭和25年で58歳、昭和35年で65,31歳、平成2年で75.92歳、平成27年で80.79歳です。平成27年84.19歳と厚労省は予測し、女性は25年61.5歳、35年70.19歳、2年81.9歳、27年87.05歳 72年で90.93歳と予測しています。昭和35年頃は人生60年と言っていたと思いますが統計で裏付けられています。

 「健康寿命」(介護が不必要で自立して過ごせる期間)と云う言葉をご存知と思います。これは単に寿命を伸ばすのではなく、健康に長生きする事を重視する考え方に基づき、世界保健機構(WHO)が2000年(平成12年)に提唱しました。世界188ヵ国の2013年の「健康寿命」調べたところ、日本の男性が71.11歳、女性が七75.56歳で男女とも世界一だったと米ワシントン大学などの研究チームが、英医学誌に発表しました。同年の男性の平均余命は80.21歳で その差は9.1歳 女性は86.61歳でその差は11.05歳です。世界の男女平均一位日本・二位は72.1歳のシンガポール。二位アンドラ公国(人口約7万2千人)・アイスランド・キプロスでした。私たちは健康寿命をのばして平均余命と同じ位にすれば介護や病気入院といった辛い事と縁のない楽しい良い人生となりますが、それは多分無理な話なので毎日の食生活に気を付け、適宜な運動で健康寿命の維持・増進に努めたいと思います。

 日本は世界一の借金国家です。昔小渕総理が国家債務500兆円の頃世界一の借金王だと言っていましたが、今はその時の倍一千兆の国家債務があります。家庭で言えば100万円の支出があるのに収入は40万円という大借金家庭です。日本の先行きを考えると暗澹たるものがあり、財政維持のためにはありとあらゆる面で負担が増えます。もうすでに相続税が増税され被相続人の負担が大きくなりました。介護保険の適用が厳しくなり、事業者への報酬は減らされています。高齢者社会を生き抜くには自己責任での時代が近づいています。

(広報誌:2016年12月 鈴木 輝雄)