カンボジア雑感

暮らしのヒント

山田 正紀(NPO 米百俵SP 理事長)

掲載の写真は、カンボジアの小学校の音楽会に応援出演してくれた、その小学校を卒業した高校生によるアプサラダンスのひとコマです。
 私は、東京新潟県人会で活動している、長岡高校同期の大原精一氏から寄稿の依頼を受け、これを書いています。我々は、高校同期の仲間で『米百俵スクールプロジェクト』というNPOを立ち上げて活動しています。大原氏も一員です。
 この記事を見て興味を持っていただけたら、当NPOのホームページを訪ねてみてください。『米百俵SP』で検索すればすぐに見つかります。NPO活動の詳細は、そのホームページに委ねることとし、ここでは、思いつくままの雑感を書き連ねることと
いたします。

 我々は、毎年4月に、東京近在の長岡高校出身者による『東京同窓会』を開いています。かなり盛況で、毎年500~600人ほど集まっています。このため、この会の幹事はかなり大変です。毎年、50歳になる卒業生が幹事を引き受ける慣わしでして、1年前から幹事団を立ち上げて準備にあたります。我々も2000年に幹事として活動いたしました。幹事団結成時に、同窓会開催だけではつまらないから、何かアドバルーンを揚げよう、ということになって、戊辰戦争時の荒廃した長岡とポルポト政権で荒廃したカンボジアとを重ね合わせ、カンボジアに小学校を1校寄贈することにしました。寄付のお金が集まりすぎて、2校寄贈しました。同窓会の席上でこのアドバルーンを披露し出席者の反応も上々で大成功でした。

 しかしながら、校舎を建てても、先生の給料が低過ぎアルバイトで授業が成り立ちません。当時カンボジアには、様々な団体が学校を建てていましたが、荒れるに任せている学校も多いと聞きました。これと同じ憂き目にあってはならないという者がいて、2001年にNPOを立ち上げて、校舎のメンテナンスだけでなく、授業が成り立つように支援を続けることになりました。私も成り行き上、NPOの隅っこに名を連ねました。ところが当時の理事長がどうにも都合が悪くなり、なぜか一番の隅っこにいた筈の私に理事長が回ってきました。相当抵抗したのですが、押し切られました。

 さて、当NPOがカンボジアで何をしているかというと、主には、
 一、 校舎や備品のメンテナンス
 二、 クラブ活動の応援
です。

 一、については、現地の協力者に施工してもらっています。最初の頃、先生にお金を預けたら、持ち逃げされてしまったことがありました。数十万円程度だったのですが、現地の人からすると目もくらむ大金だったのでしょう。うっかりしていました。

 二、は、ひとつには先生を学校に引き留めておくための方策です。授業を成り立たせる必要から、クラブ費として先生にいくばくかのお金を渡して、アルバイトをセーブしてもらうためです。もうひとつには、現地の授業にはない、音楽や体育を子供たちに体験させるためです。
 音楽のクラブ活動が発展して、今では近隣の小学校を何校も巻き込んで、音楽会を毎年開いています。掲載の写真は、去年の音楽会の時のものです。

 2校のうちの1校目の村の方がずっと豊かな感じを受けるのですが、学校を建てた当初、その村の400軒ほどの家のうち、トイレがある家は3~4軒のみとのことでした。今では電気が通り、去年は、学校に水道が引かれていました。隔世の感があります。
18年以上にもわたるNPO活動を思い浮かべ、我々の活動も少しは役に立ったのだろうと考えると感慨深いものがあります。

アイキャッチ画像:米百俵SPHPから引用

(会報誌:2019年3月)