【首都圏佐渡連合会】第16回文化講演会

会の活動報告

日時:2025年11月30日(日)14時~18時20分
会場:東京新潟県人会館2階ホール

第一部 講演1:「200年以上係争される無名異焼の挑戦」其田 弘輔(北沢窯)
    講演2:「佐渡無名異焼がこれから目指すこと」遠藤 智弥(株式会社ネルニード代表取締役)

佐渡の伝統工芸品「無名異焼」の再興作家と流通支援者の講演会を開催!

この文化講演会は在京の佐渡出身者、佐渡に関心を持つ方々に佐渡の文化を紹介する年に1度のイベントで、今年で16回目の開催となる。
今回は佐渡の伝統工芸品「無名異焼」の作家・其田弘輔氏(北沢窯)と無名異焼のマーケティングを担当されている遠藤智弥氏(株式会社ネルニード代表取締役)のダブル講演会。

無名異焼の新しい商品づくりに挑戦を続ける其田氏と、その伝統工芸品を未来に遺そうと生産者の組織化、後継者育成、販路開拓に尽力している遠藤氏の講演で大変中身の濃い有意義な講演会となった。

講演1:「200年以上係争される無名異焼の挑戦」/講師:其田 弘輔(北沢窯)

伝統を受け継ぎ、新しいものづくりに挑戦

其田氏は、祖父の代から続く佐渡・相川「北沢窯」の若き作陶作家。200年以上続く相川・無名異焼の伝統を受け継ぎながら新しいモノづくりの挑戦を続けている。
講演では材料の土づくりから、無名異焼の特徴、作陶の苦労話、歴史からその特徴をご紹介頂いた。

土選びと練りの工程が作品の質を決める

無名異焼の素材(土)は、佐渡で獲れる鉄分の多い「無名異」と呼ばれる赤土と相川・二見の野坂地区で産出する黄色い土を混ぜ合わせたもの。
土選びと練りの工程が作品の質を決める最も重要な作業で、粒子のきめ細かさが命である。器の制作に入るまでに土づくりだけで1年もかかるとのことで驚きだ。

急須

また、器の制作では、焼きの工程で30%も収縮するため、特に急須など接合部分が多い陶器の場合、部品の接合と仕上げには大変神経を使うとのこと。それでも実際に窯で焼くと中で割れる事もしばしば、作業には大変気を遣っているとの事であった。

長年の使用で味わい深い風味が加わる

こうやって制作した大変な陶器は釉薬を必要とせず、土の風合いを生かすことが出来、永年の使用で味わい深い風味が加わるということである。
土づくりから作陶の様子を動画でご紹介いただき、参加者に無名異焼の作陶の苦労や作品の素晴らしさを語って頂いた。

無名異焼は茶器、片口容器ビールグラスなどにも
片口

無名異焼の売れ筋も、時代とともに替わってきており、茶器のみならず、最近ではビールグラス、日本酒の片口容器などが人気とのこと。無名異焼のお皿がフレンチや和食のレストランで採用されるなど、新しい時代に即した作品を提供する事が増えている。風鈴や指輪等も作る窯元もあるようで、無名異焼の新しいマーケットが開拓されているようであった。

講演2:「佐渡無名異焼がこれから目指すこと」/講師:遠藤 智弥(株式会社ネルニード代表取締役)

無名異焼マーケティング活動の具体的な課題を語る

マーケティング担当の遠藤氏は、自身と佐渡との繋がり、無名異焼との出会い、無名異焼の課題解決のための活動について講演された。

具体的には、以下の4つの課題――
① 後継者不足・技術継承の危機
② 価値の創出と再編
③ 無名異焼産地の一体化
④ 流通・販路・情報発信の弱さ

の課題解決について、遠藤氏の具体的な活動の概要をお話頂いた。

市内の小学校で無名異焼の授業を開始

特に①の後継者不足の対策として、市内の小学校にて、令和7年4月から無名異焼の授業を開始。

まったく無名異焼を知らなかった子供たちを対象にして、佐渡の伝統工芸の素晴らしさを伝え始め、興味を持ってもらえるよう取り組んでいるとのことであった。

無名異焼産地の一体化のための組織化に取り組む

③の無名異焼産地の一体化については、佐渡の作陶窯の組織化を図り、業界が一体となり、無名異焼の産業としての育成に注力している事など、具体的な活動の概要を詳細にご紹介頂いた。

若い二人の作陶家、マーケティング担当者と活発な質疑応答

無名異焼の作陶家と販路拡大にまい進されている若いお二人の講演は大変濃い内容で、質疑応答も活発、二次会の懇親会を含め、大変濃密で有意義な講演会となった。

(首都圏佐渡連合会・事務局長 小路 徹)/(会報誌2月号掲載)