日時:令和6年(2024年)3月25日(月)
会場:板橋文化会館大ホール
主催:21世紀おけさアートの会
後援:佐渡市・公益財団法人 日本民謡協会・一般財団法人日本郷土民謡協会・東京相川会 ・郷土民謡新潟県人会・越後民謡会
総勢70名余で繰り広げた佐渡・越後・魚沼の民謡・民舞
21世紀おけさアートの会(会主・菊地幹夫)の第27回公演が、3月25日(月)、板橋文化会館大ホールで開催された。
定刻午前10時。緞帳が上がり、菊地幹夫・会主のご参集頂いた方々への感謝のことばに続き、会主自身の『海府甚句』朗詠で、午後4時までの6時間にも及ぶ、実に内容豊富な公演がスタート。
今回の公演は、佐渡市、(公財)日本民謡協会はじめ6団体の分厚い後援体制のもと、民謡界の有力な歌い手を動員。「伝統芸能・民俗文化である民謡民舞は…ふるさとの宝物であり、私たち日本人の貴重な財産です。…」(霜鳥秋則・(公財)日本民謡協会理事長)。
この言葉をまさに体現しているかのような「甚句」から「追分」、「ハイヤ・おけさ」までの全64曲の見事な配列は、永年の民謡ファンだけでなく、民謡に新しく興味を抱くビギナー層にも大変役立つ内容であった。
演目一覧
■甚句
1.海府甚句 菊地 幹夫(21世紀おけさアートの会)
2.津軽甚句 梶井 正之(21世紀おけさアートの会)
3.磯節 松田 靖彬(21世紀おけさアートの会)
4.長岡甚句 小林 等(出雲崎秀和かい)
5.岩室甚句 関口 佳子(日民首都圏連合会優勝者)
6.津軽塩釜甚句 春日 法子(日本郷土民謡協会ビクトリー優勝者)
7.越中おわら節 遠藤 忍(日本郷土民謡協会ビクトリー優勝者)
8.隠岐相撲取り節 国村 千鳥(EMIレコーズジャパン)
9.相撲甚句 京極加津恵(日本コロンビア)
■音頭
10.伊勢音頭 木津かおり(日本コロンビア)
11.古調郡上節 椿 元一(オリエントレコード)
12.ホーホラホイ 勝田 正子(オリエントレコード)
13.相川廓ぞめき 菊地 幹夫
14.出雲音頭 川崎マサ子(オリエントレコード)
15 .道南口説節 春日 法子
16.新穂音頭(民舞・朱鷺おけさ会) 菊地 幹夫
17.河内音頭 川崎 マサ子
18.北海金堀唄 椿 真二(日本郷土民謡協会事務局)
19.秩父音頭 小沢 千月(EMIレコーズジャパン)
■広大寺
20.新保広大寺 木津 かおり
21.新保広大寺口説 菊地 幹夫
22.殿さ節 柴田 隆章(日本郷土民謡協会相談役)
23.どっさり節 国村 千鳥
24.新保広大寺(板橋・足立)京極加津恵
25.八木節 小沢 千月
26.津軽じょんがら節 川崎 マサ子
■元唄はどっち
27.野良三階節 菊地 幹夫
28.柏崎三階節 木津 かおり
29.隠岐しげさ節 国村 千鳥
~休憩~
■成増小学校・寺子屋
30.チャグチャグ馬ッコ 富田 雪乃
31.秋田節 富田 雪乃
■若波会
32.新潟甚句(民舞) 木津かおり
33.七浦甚句 菊地 幹夫
34.両津甚句(民舞) 桜井 菊司
35.相川甚句(民舞) 若波会社中
36.愛川音頭(民舞) 若波会社中
《佐渡の祝い唄・湊木遣り》
37. 東京湊木遣り愛好会
■松阪
38.魚沼松坂 木津かおり
39.謙良節 椿 元一
40.加茂松坂 菊地 幹夫
41.置賜しょんがいな 高岸ハチヨ
42.村上松坂 菊地 幹夫
43.埼玉松坂 柴田 隆章
44.秋田長持ち唄 関口 佳子
45.喜代節(民舞・小林ハマ子) 渡辺 昭山
46.秋田荷方節 川崎マサ子
■追分
47.小室節 渡辺 昭山
48.小諸馬子唄 上村 正春
49.江差三下り 伊藤 良三
50.越後追分 菊地 幹夫
51.村山馬喰節 高岸ハチヨ
52.朝の出がけ 上村 正春
53.本荘追分 遠藤 忍
54.江差追分 伊藤 良三
■ハイヤ・おけさ
55.牛深ハイヤ節 木津かおり
56.浜小屋おけさ 椿 貞二
57.出雲崎おけさ 小林 等
58.山田のハンヤ 菊地 幹夫
59.小木おけさ 梶井 正之
60.小千谷おけさ
61.津軽アイヤ節 川崎マサ子
62.佐渡おけさ(民舞) 若波会社中
63.古調相川音頭(総踊り)
64.両津甚句(全員合唱) 全員
民謡Memo①【甚句】
「甚九」とも書き、日本民謡の中には甚句が圧倒的に多く特に新潟県には「両津甚句」「米山甚句」など数多くある。甚句とは「七・七・七・五」の詩形(五・七・七・七・五)となる場合もある。全国各地の民謡に、この形式が多い)を元に、軽快にうたう一種の騒ぎ唄で、元来長編の唄であったと思われる音頭と形式的に対立する。かつての花街や飲み屋街で盛んに唄われた。
民謡Memo② 【松坂】
越後を中心に東北地方に分布する祝い唄。土地により松坂節・荷方(にがた)節・謙良(けんりょう)節などと呼ばれ、北陸から九州地方まで広く分布する盆踊り唄。伊勢の古市で行われた伊勢節が広まったものともいう。新津松坂、加茂松坂は盆踊り唄。
民謡Memo③【ハイヤ・おけさ】
昭和の初年「佐渡おけさ」が全国的に有名になり、「おけさ」語源節が多く表れた。「置けさ」「桶屋の佐助」「お袈裟」「女性の名前」「お今朝」説など様々である。いずれも「おけさ」という囃子詞からの伝説にすぎない。
九州から伝播した「ハイヤ節」が越後で「ハンヤ節」という名称で跡を残しているが「ハイヤ節」のうたい出し「ハイヤエー」が「オケサエー」とうたわれたという説もある。現在は佐渡おけさも「ハァー」のうたい出しで「おけさ」という囃子詞は使われなくなったが、近県には同系と思われる「おけしや」「おけま」「おきんさ」などの曲目もあって中に「おけさ」の囃子詞を残すものもみられる。小木港を中心にうたわれ、佐渡おけさに対してテンポ速く素朴さも残している。