講師:沓名 貴彦(国立科学博物館理工学研究部科学技術史グループ長)
日時:令和5年1月21日(土)
場所:ふれあいふるさと館2階ホール
主催:新潟県・佐渡市
令和5年1月21日(土)東京新潟県人会館に於いて午後1時30分から、新潟県・佐渡市主催「国立科学博物館理工学研究部科学技術史グループ 沓名貴彦先生」の講演が開催されました。
講演会の様子①
コロナ禍にも関わらず、満席の83名が聴講しました。
定刻開会、新潟県観光文化スポーツ部文化課、茂野由美子課長の開会挨拶の後、同課澤田敦世界遺産登録推進室長から「『佐渡島の金山』世界文化遺産登録に向けて」として現状が報告されました。
続いて、「甲斐・石見から佐渡へ」―出土遺物への科学調査から探る戦国から江戸初頭に至る金銀生産技術の変革―と題して沓名先生の講演が始まりました。
冒頭「近年まで日本は世界に金属資源を供給した資源国であった」の説明に日本に資源は無いと思っていた者としては驚きをもって受けとめました。
講演内容
①非鉄金属生産の工程・技術と佐渡金銀山絵巻
②出土遺物から探る非鉄金属生産
③戦国期から江戸初頭の金銀生産技術を生産関連遺物から探る
④戦国期から江戸初頭の金銀生産技術を金工品から探る
※レジュメ順
レジュメを見た途端、「これは難しい!」、「科学苦手!」、「でも興味ある!」と興味深々でした。
講演会の様子②
絵巻から当時の生産技術を類推する、科学的な分析等の講演に新鮮さを感じました。
先生は講演の終わりに、戦国から江戸初頭における非鉄金属生産関連遺物や金工品への科学調査から見える生産技術について紹介されました。
「戦国期鉱山開発と共に金属生産活動が高まるが鉱山の繁栄は短く、江戸時代まで続く鉱山は限られる。佐渡金銀山は、江戸初頭に繁栄し、その後紆余曲折を経ながらも、長期にわたって金を供給した稀有な鉱山であった。非鉄金属生産は戦国期に飛躍的に増大したが、効率的な生産技術は各地で用いられたというよりも、現時点では甲斐や石見に関連する場所を中心に灰吹法などの技術が明らかとなり、その専門性が窺える。非鉄金属生産技術のさらなる伝播状況や、金工品生産では今後も調査すべき事項は多い。佐渡奉行所跡出土資料にも一点金粒子が付着した坩堝(るつぼ)が存在する。今後是非詳細調査を行い、佐渡金銀山の生産技術解明の一助となるようにしたい。」と締めくくりました。
質疑応答ではインドの金事情や、中尊寺や金閣寺の金と佐渡の金工品の関連性等の質問がありました。
講演終了、散会後の茶話会で友人曰く「難しかったけど良かったね」と、学生時代を思い出したとの事でした。
講演会の様子③
東京新潟県人会館の近くに「湯島天神」があります。講演開始迄時間があったので参拝、世界文化遺産登録を祈願しました。学問の神様故今日の講座にピッタリかなと思いつつ、孫の高校受験の合格祈願もしました。ちょっと欲張りだったでしょうか。
令和6年「佐渡島の金山」世界文化遺産登録成就しますように!
(文:佐渡を世界遺産にする首都圏の会 伊藤 功)
(会報誌:2023年3月)