映画『日本のいちばん長い日・運命の八月十五日』視聴

会の活動報告

・日時:令和4年8月15日
・場所:ふれあいふるさと館(県人会館)2Fホール
・主催:総務委員会

卓話者:三條 和男氏(総務委員会委員・東京関原会会長)

今回の「卓話の時間」は、8・15終戦記念日に、ふれあいふるさと館に参集。映画『日本のいちばん長い日』を視聴。三條和男氏の「卓話」をお聞きしました。

《映画のあらすじ》
 舞台は太平洋戦争末期、日本におけるポツダム宣言の受諾にまつわる物語。
 1945年8月14日正午の受諾決定から翌日正午の昭和天皇による日本の降伏を告げる玉音放送までの24時間に何が起きていたか? 戦争を続けるか敗戦を認めるか、当時の日本政府は戦争を終わらせるために言語を絶する困難を乗り越えてやっとたどり着いた激動の一日の攻防を描いた名作ドラマでした。

松竹映画(2015)
松竹映画(2015)

 1945年4月、かつて昭和天皇(本木雅弘)の侍従を務めたことのある鈴木貫太郎(山﨑努)は首相になり、鈴木首相と同じく侍従を務めたことのある阿南惟幾(役所広司)を陸軍大臣とすることにしました。
 5月、東京は大空襲により大きな被害を受けて、6月22日、皇居に建設された御文庫地下防空壕では、天皇・鈴木・阿南その他大臣を含めた閣議が開かれ、降伏か本土決戦か、議論が紛糾し決断に苦悩します。阿南陸相は天皇の意思に従いつつも、勝つために戦争を続けることができないかと考えていました。
 7月26日、連合国軍は、「ポツダム宣言」を発令し、日本に無条件降伏するよう勧告してきました。しかし、そのポツダム宣言には、いつまでに受諾しなければならないのか、天皇の地位が守られるのかが具体的に書いていなかったために日本政府は黙って様子を見ることにしました。そうこうしているうちに、8月6日、広島に原爆が落とされ、さらに連合国との間に立ってもらおうと考えていたソ連が参戦してきたという絶望的な知らせが届きます。もはや日本は限界だと、鈴木首相は「この戦争はこの内閣で決着する」と言い放ち、8月9日、閣僚会議で、戦争の継続は不可能、ポツダム宣言を受諾すると言います。「日本は事実上敗北している」と言う海軍大臣に対して、阿南はまだ勝てる見込みがあり、陸軍は今まで負けたことがないと両者は対立します。そこに、長崎にも原爆が落とされたという衝撃的な知らせが届きます。
 8月10日、天皇を前にした御前会議が始まり、鈴木首相は天皇の決断をもってこの会議の結論とすると宣言し、天皇は「1人でも多くの日本人に生き残ってもらい、将来に道を残すこと」が自分の望みであり戦争によって文化を破壊し不幸を招くことは自分の望みではないと告げます。
 しかし、阿南陸相は陸軍に対しポツダム宣言を受け入れる条件は天皇の地位が守られることだと結論を出します。本土決戦を嘆願している畑中(松阪桃李)ら陸軍の一部の青年達が日本の降伏を阻止しようとしてクーデター事件を起こし、被害者が出ましたが鎮圧されます。
 一方、8月14日23時30分、日本の降伏を告げる天皇の玉音放送の録音が始まり、無事完了します。内容が漏れることを懸念し、侍従たちは玉音放送の録音盤を次の日の正午まで守り抜くため必死に防備します。
 8月15日正午、天皇の「玉音放送」。一億玉砕論も渦巻く中、玉音放送が終えるまでの舞台裏や政策決定などの攻防について現代史を知るためにも、また、現代~未来を自覚するためにも、原作者の意図をこの映画を通して得るものが沢山ありました。戦争を終える難しさ。現在進行中のロシアによるウクライナ軍事侵攻の最中にあって、この映画が示すように、一度起こした戦争を食い止める業(終戦)は、尋常ではありません。始めるより終える方が本当に難しい。果たして現在のロシアがどう矛を収めるのだろうか。「武力による外交ではなく、あくまで平和外交に徹する秋(トキ)であります。」と、三條さんの結びの言葉でした。

(会報誌:2022年10月)