師匠歌丸 背中を追い続けた32年

暮らしのヒント
師匠・歌丸との関係を中心に描く落語家・桂歌助の半生

 本書は、「笑点」などで国民的人気落語家であった桂歌丸(元落語芸術協会会長 1936~2018)の弟子・桂歌助の著作。

 桂歌丸師匠は、2018年7月2日逝去。本書の出版は、7月24日であるが、師匠の死に合わせて書かれたものではない。
 著者が、生前の師匠に読んでもらいたく、高座の合間にずっと書き続けてきたという。 桂歌助師匠は、昭和37年(1962)、新潟県十日町市生まれ。地元の十日町高校を経て東京理科大数学科に進学。卒業後、数学教師志望から急角度に落語家志望へと転進。昭和60年(1985)、桂歌丸に入門。歌児となる。この辺の経緯は本書に詳細に記されているのだが、本書の構成は──
・第一幕 入門 (1985)
・第二幕 前座 (1986~)
・第三幕 二ツ目(1990~)
・第四幕 真打 (1999~)
・最終章 それから
というシンプルな五章立て。夫々の時代の師匠と弟子の独特な関係が、豊富なエピソードも交じえ、描かれている。

 この本を読んで伝わってくるのは、私なども多少のお付き合いの中で、日頃感じている彼の素朴で実直な人柄。師匠の弟子への意外ともいえるやさしさである。歌助師匠は、「はじめに」で書いている─「…本書は偉大なる「師匠・歌丸」の背中を永遠に追い続けていく私の成長の記録であり、師匠の弟子であることの誇りを表明したものである。」 (広報委員長 樋口 高士)


師匠歌丸 背中を追い続けた32年
背中を追い続けた32年
イースト・プレス・刊
定価・1,500 円+税