良寛と童

暮らしのヒント

子ども好きであった良寛をもっともよく表現しているといわれる作品。昭和六十年の夏に出雲崎町の光照寺(良寛が剃髪した寺)で描かれた。 (出雲崎町 良寛記念館蔵)

とみかわ・じゅんいち(明治40~平成7年)
新潟県長岡市(旧栃尾市)生まれ 洋画家安宅安五郎に師事 30歳ころ日本画の研究も始め京都に移住 良寛を描くときは水彩画を用いた 良寛を描くことになった理由は富川家と良寛の山本家は外戚関係にある 祖母から逸話を聞かされ育ったといわれ良寛を身近に感じていた

色青く面やせたる僧に惹かれる

細川護熙 もりひろ (永青文庫理事長)

寒炉深く炭を撥く
孤灯さらに明らかならず
寂寞として半夜を過ごすに
只聞く遠溪の声

自らの生き方を考えるとき、思いを馳せずにはいられぬ中の一人が、良寛で す。子供たちと日がな手まりをついて遊んだという、温容の人としての側面がよく知られていますが、厳しい修行に明け暮れた「色青く面やせたる僧」としての側面を秘めているところに、惹かれてきました。

永青文庫では、2021年6月1日から8月1日まで、初夏展「心のふる さと良寛Ⅱ」を開催します。当館では、2018年に「生誕260年 心のふる さと良寛」展を開催し、国内有数のコレクターのご協力を得て、初期から晩年までの遺墨百九点を展示しました。本展はその第二弾として、良寛を支えた女性たちとの交流、その人となりの分かる名品、良寛を敬愛した著名人の作品が紹介されます。

東京で唯一の大名家直系の美術館である永青文庫は、肥後熊本五十四万石を治めた細川家の下屋敷跡にあり、細川家伝来の美術工芸品や歴史資料、設立者である十六代細川護立の蒐集品を保存・研究・公開しています。良寛没後190年目にあたる2021年、永青文庫が良寛愛好者の出会いの場となれましたら幸いです。

全国良寛会会報「良寛だより」第172号
(富川潤一・画)
(資料提供:東條玉英/2021年6月3日)