【第50回卓話の時間】ウクライナに一日も早く平和を!

会の活動報告

卓話者:ウクライナ民族楽器『バンドゥーラ』奏者カテリーナさん、宮田タマ恵さん
日時:2023年11月14日(火)
場所:ふれあいふるさと館(県人会館)2階ホール

今回の「卓話の時間」は、チャリティー・トークショーとしてカテリーナさんにお話しいただきました。カテリーナさんは、ロシア侵攻の祖国にいる兄弟や友人と常に連絡を取っていることを明かし、「以前に比べてウクライナは落ち着いていると思われているかもしれませんが、今でも毎日警報が鳴り、何処かにミサイルが落ちています。そんな生活に皆が慣れている状況です。」と未だ戦争が続いている惨状を訴えました。母マリアさんも昨年3月、キーウから避難して日本に身を寄せています。

カテリーナさんと宮田タマ恵さん
カテリーナさん誕生の数ヵ月後にチェルノブイリ原発事故

カテリーナさんは、1986年にウクライナの北部チェルノブイリ近郊で生まれました。
生後数か月もたたないうちにチェノブイリ原発事故が起きて、両親と2人の姉と共に首都キーウに強制移住しました。

その後、6歳の時に音楽学校に通ってバンドゥーラを習い始めます。バンドゥーラはピアノの鍵盤を弦にしたような感じです。毎日持っているので重さは感じないが、8キロもあり、持つことで筋肉トレーニングにもなるそうです。
10歳の時に演奏公演で日本に初来日。そんな縁もあり、2006年に20歳で活動拠点を日本に移し、2008年には日本人男性と結婚し長男を授かり、現在は音楽で母国の魅力を伝える活動を日本各地で行っています。

「ウクライナは戦況の膠着状態が続いていて終結が見通せない中、中東に緊迫した情勢が発生し、欧米の関心は専らそちらに移っています。しかし、ウクライナの戦争の恐怖は、今日、電話で聞けた家族や友人の声が明日にはもう聞けなくなるかもしれず、今も人々が命の危険にさらされている。安全で平和な世界が訪れて欲しい。」と訴えました。

ウクライナの思い出語るカテリーナさん

音楽を通して平和を願い、日本で音楽活動を続けるのは、音楽でウクライナの美しさを伝えることが自分の役割であると考えるようになったからだそうです。
町が破壊されるニュース映像ではなく、黄色い小麦畑で新鮮な空気が吸える、美しい国を見て欲しい。そんな思いで、昨年は日本国内でコンサートを300回以上開き、今年も同じペースで全国各地を飛び回り、ステージでウクライナの伝統的な衣装を身に着け、豊かな自然や文化の魅力を伝えています。

第2部 バンドゥーラ演奏と共にカテリーナコンサート

バンドゥーラを弾きながら「涙そうそう」などの日本の歌も綺麗な声で歌いました。
初めて日本を訪れたときは「原発事故のない世界」を叫び、今は「戦争のない世界へのメッセージ」として伝わってくる歌詞を誰も悲しまず、当たり前の日常を自由に暮らせるようにとの思いを込めて熱唱しました。

演奏するカテリーナさん➁
演奏するカテリーナさん

「8月に公演も兼ねて家族とヨーロッパを旅行したが、日本が一番暮らしやすいと実感しました。街がきれいで夜も安全だし平和で水もおいしい。日本を選んで良かったと思います。」としみじみ話していました。続けて、「ただ、皆さん、平和に慣れている日本の平和と安全について考えていただきたい。」と力を込めました。

ウクライナの民族楽器「バンドゥーラ」の65本の弦からなる楽器の特徴やジャークユ(ありがとう)などウクライナ語の紹介も行い、ウクライナで子守歌としても歌われている『金色の花』や現地の音楽を熱唱しました。最後に「平和なこの青空がいつまでも続くように」と祈りを込めて『翼をください』を日本語で歌い上げた。

コンサートの後、参加者との質疑応答も行われました。