村野藤吾と澤田政廣
私がこの谷村美術館を初めて訪れたのは、一級建築士である友人に7~8年前に案内してもらったときだ。そのとき友人は、村野藤吾(むらのとうご)と呼ぶ建築家を私に熱く熱く語ってくれた。昭和の建築史の礎を築いた村野藤吾
2020/06/12 谷村美術館 回廊
この谷村美術館は、その村野藤吾が何と92歳のときに手掛けたものだ。友人はこの美術館の建築設計の素晴らしさを建築家目線で私に語ってくれた。
美術館入口から回廊を臨む
美術館全体を取り囲む自然環境、美術館入り口へ結ぶ回廊、館内の何気ない格子窓のこだわり(自然光へのこだわり)。10点の仏像の部屋は、仏像に合わせて設計されている。白の湾曲壁面とその光の配置により自然と次の仏像へ足を運ばせるように作られている。
谷村美術館全景
仏像は、彫刻家 澤田政廣(さわだせいこう)によるもの。この美術館は、そもそも澤田政廣による仏像を展示するために設計されている。前述したように、仏像から次の仏像に足を運ぶまでの通路と部屋の設計は、「なるほど」ど、関心してしまった・・・建築家目線の友人の説明は実に興味深い。
玉翠園
確かにその光に導かれるように次の仏像に脚を運んでしまう。
勿論 村野藤吾は、澤田政廣の仏像をあらかじめ知ったうえで この美術館の設計を行っている。複数の仏像と部屋の空間、部屋と部屋を結ぶ通路は光の明と暗を意識して作られている。
玉翠園内にある翡翠のテーブル
静寂の館内は心が落ち着く、目に入る自然光まで改めて意識してしまう。
奇抜な外観、湾曲壁面で構成されている館内。そこに柔らかい自然光が降り注ぐ。そんなことを意識しながら館内を訪れるのはおもしろいと思う。
玉翠園
この美術館のもう一つの特徴は、玉翠園(ぎょくすいえん)だ。素晴らしい日本庭園を眺めることができる。春夏秋冬それぞれの顔を持つ日本庭園に心を癒すこと間違いない。
写真は糸魚川在住の写真家・渡辺貴さんによるもの、渡辺貴さん撮影による谷村美術館/玉翠園を皆様にご紹介します。(広報ウェブ:榊 勝彦)