来島の文化人 蔵からのささやき

暮らしのヒント

来島の文化人 蔵からのささやき

 本書は「新潟日報・佐渡版」掲載シリーズ--
「来島の文化人」(2009年6月6日~10年3月27日)、「蔵からのささやき」(2010年7月25日~10月8日)二編をまとめ地元佐渡市で出版されたもの。

 「来島の…」は、佐渡を訪れた近代の文化人32氏の足跡を佐渡人の視点から綴ったもの。

 「蔵からの…」は、著者・山本修巳氏(1938年~)自身の家、寛永七年からの代々の家名・山本半右衛門家に残されていた膨大な資料の一つ一つを精査し、佐渡の歴史と時代背景を平易に解説詳述したもの。永い歴史を持つ佐渡の文化を、外からの視点と、内からの視点とで捉えた得難い好著である。

 「来島の文化人」篇には冒頭の尾崎紅葉から、次の司馬遼太郎、与謝野鉄幹・晶子、会津八一、亀井勝一郎、高浜虚子、斎藤茂吉、長塚節……と続き最後には水上勉、相馬御風と並ぶ。
 司馬遼太郎氏は、1976年(昭和51年)に、連載中の「街道をゆく」、「胡蝶の夢」の取材の為に来島。戦時中、旧満州から釜山経由、船で本州に向かった折の事を「毎日、…水平線ばかり見ていた。最初に見たのが-- つまり、迎えてくれたのが佐渡だった」と感慨を記す。多くの方が、佐渡の里山や人情に懐かしさを感じておられるが、亀井勝一郎氏(文芸評論家)は、佐渡の海岸線の美しさを語っておられたという。
(広報・樋口)

■佐渡郷土文化の会
佐渡市真野新町1254
TEL 0259-55-2700


山本修巳・著
佐渡郷土文化の会
刊:2018年5月1日