新潟県 県民性の人物史

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 本書は同著者の前著『新潟県 県民性の歴史』(2018年8月 刊)の続編。

 今回は、新潟県出身で多彩な分野で活躍する人物にスポットを当て、「県民性」の考察を試みる、一種の「人物読本」になっている。とりあげた人物は、5章65項目で252人に及ぶ。

 著者は、まず、「はじめに」で、「最も新潟県人らしい人は誰か?」という問いかけをしながら、対照的な二人の人物を挙げている。

 上杉謙信。「義」の心をもち、救いを求められれば、素早く軍を動かし、目覚ましい戦果を挙げた人物。「頼まれれば越後から米つきに行く」、「人の好い越後人」の典型とみる。

 良寛。孤独を好み、物事に頓着せず、感情を表に表わさず、しかし、内面は、非常に敏感であり、かたくなであった。そして、非社交的、控えめ、生真面目という、典型的な「分裂気質」とみる。
 しかし、一方、著者は、新潟県人は、誠実で、粘り強く、堅実という県民性を持っているはずだ。その典型が、『大漢和辞典』編集に人生を賭した諸橋轍次ではないか、と問いかけるのである。

 結局、典型的な新潟県人を絞り込むのは、なかなか難しい、と著者はいう。
 ならば、実際に集めた新潟県人のデータを、政治史、生活・社会史、産業史、文化史に分類し(本書の目次項目)、さらに細かい項目ごとに、古代から現代について縦切り検討してみようと試みたのが本書というわけである。 (広報委員長 樋口 高士)


新潟県 県民性の人物史
伊藤 充 著 (新潟大学特任教授)
新潟日報事業社 2019.6.21 刊