江戸後期・天保年間に出版
江戸後期、天保8年(1837)。越後塩沢村縮仲買間屋主人・鈴木牧之(1770~1842)の40年に及ぶ苦心の作――
『北越雪譜』が、江戸の版元から、山東京山ら、当時の江戸の文人・画工らの協力で出版され、大きな反響を呼んだ。それは、本書が、雪国の風俗、暮らしぶり、方言、奇諄……まで雪国の諸相が、豊富な挿絵も交えて、詳細に描かれていたからである。
本書は、初編(巻の上・中・下)、2編(巻1・2・3・4)に大別。「初編・巻の上」には、雪の結晶スケッチなど科学的記述が、「巻の中」には、越後の名産。縮織りに関することが中心に書かれている。
昭和11年、岩波文庫・黄版に
『北越雪譜』は、天保8年の初版以来、版元を変えながらも明治時代まで版を重ねてきたという。
活字本は本欄紹介の岩波文庫版が初めて。校訂者・岡松武松氏は、高名なる気象学者であるという。私の書架には、他に2冊の『北越雪譜』がありました。
・新潟三条・野島出版刊(S45)新書・監修・宮栄二。
・名著刊行会刊・初版復刻版(s43)。本書の「解題」では紀田順一郎は――
「…本書は、近世に多い学問的随筆で、地方の篤学者と中央の職業的著述家との息の合つた合作として、類のないものである。‥」と。 (広報委員長 樋口 高士)
北越雪譜
鈴木牧之・編選 / 岡田武松・校訂
岩波文庫・黄版 / 1936.6.22・刊