史跡の町(出雲崎町)

にいがた情報
妻入りの街並みと情緒豊かな街

 出雲崎は遠く神代の昔、大国主命によって開拓されたと伝えられている。上杉時代に入ると中下越の諸城を結ぶ〝のろし〟の分岐点として小木ノ城は重要な地位を占めていた。江戸時代になると陣屋(代官所)も徳川幕府直轄地「天領」となり佐渡「渡海の津」と定められた。
 佐渡金銀輸送や北前船発着の港町として、また北国街道の宿場町として政治、経済、交通、文化の中心地となった。良寛がこの地に生まれ、芭蕉が訪れ、「天河」の名句を残し、亀田鵬斎、十返舎一九、谷文晁、吉田松陰など数多くの文人墨客の往来があった。
 明治に入ると、石油産業の企業化とともに、わが国初の機械掘りに成功し、石油産業発祥の地として脚光をあびた。華々しい幾多の歴史を重ねてきた出雲崎――。今はそれらを物語る史跡旧跡が町の各所に残され当時を偲ばせている。

(会報誌:2021年05月)