淡い宝石箱のような物語
豪雪地帯として有名な高田の町には、今でも民家の軒先に雁木という、家々が軒先の庇をつなげて作ったアーケードが残っています。その町でくらす児童文学作家の杉みき子さんが書いた『小さな町の風景』には45話の物語、「坂のある風景」から「海のある風景」までの8章がおさめられています。
物語に登場するのはいつもそこにある風景。読みすすむと作品どうしが幾つものつながりを持っていることに気づきます。あなたのくらす町にはどんな小さな物語がありますか。
「ここは わたしの町 小さな旗をたてる
ここは わたしの町 小さなくつで歩く
ここは わたしの町 小さな歌がひびく
ここは わたしの町 大きなにじがかかる」
( 杉みき子『小さな町の風景』・はじめにより)
(会報誌:2021年02月)