首都圏佐渡連合会 産業振興フォーラム開催 (1/2)

会の活動報告

 3月4日(土)東京新潟県人会館に於いて3年振りに首都圏佐渡連合会主催の第28回産業振興フォーラムが総勢103名を迎えて開催された。第一部基調講演講師はNHKグローバルメディアサービス専門委員瓜林裕治氏、演題は「NHK・マスコミ業界の変遷」。ご自身の入局当初、駆け出し記者時代に担当した地方での事件、事故や東京の社会部記者時代に起こったロッキード事件での容疑者宅の張り込み、捜査官への夜回り、等の苦労話、また沖縄勤務時代の首里城復元、米軍基地問題、災害報道にも関わったこと、等体験談を語って頂いた。


瓜林裕治氏

 スポーツ報道センター部長時代においては長野オリンピック(1998年)に関わり、スピードスケート500メートル金メダリストの清水宏保選手が、競技の前にお腹をこわして何も食べずに競技に臨み、スタジオ入りすると直ぐに「うどんが食べたい」と言ったので直ぐに取り寄せて食べてもらい、非常にうまそうに食べていたのを今でも覚えている。500メートル競技は100分の数秒で順位が入れ替わるのでちょっとした体調の変化も許されない。清水選手は非常に厳しい訓練を長く続けていたことで弱気の虫というものを寄せ付けなかった、と感じた。もう一人印象に残っているのは、開会式のゲストに出演してもらった女子マラソン選手の有森裕子さんの「私は今でも毎日走らないと直ぐに筋肉とか心臓とか肺活量がバタッと落ちてしまい直ぐ走れなくなってしまいます」と言い、一時気が落ちて走るのをやめようかと思ったことがあるそうです。そういうときも自分と闘いながらくじけずに毎日トレーニングを欠かさずに続ける、「人間いかに毎日継続して鍛錬することが重要か」ということを有森さんが教えてくれた。継続は力なり、ということわざもありますが、世界的なアスリートの体験からの教訓はことわざより深く伝わる、と感じた、との話もして頂きました。


会場風景

 国際的なスポーツ競技においては民放との連合(ジャパンコンソーシアム)で放送権を獲得することがあり、高額な放送権料を民放と分担する話もあり、現在はニュース番組の英語副音声の担当振り分け、等の統括をしており、英語で放送されるまでの流れもしていただいた。

 広報室副部長時代(1990年代)の話として、広報といっても番組の宣伝ではなくマスコミ広報と言って職員の不祥事、番組の「やらせ」、等の問題が起こった際の新聞、週刊誌の取材窓口の部署であり、NHKの対応基本方針である、事実を曲げたり都合の悪いところを隠して発表しない、事実を小出しにしないでいっぺんに洗いざらい発表する、特定の新聞社の特ダネにしない、という必要以上に大きくしてほしくないための方法でNHKのイメージダウンを少しでも抑えるのが役目でした、との話もありました。職員の不祥事問題から受信料の不払い問題が起こり管理職が一軒一軒お詫びと説明に回ったが中々許してもらえなかった、との話もありました。

 この他、NHK会長は内閣総理大臣が任命した経営委員12人の内9人以上の賛成で選任される。NHKの予算は総務省に提出し、総務大臣の意見を付けて内閣経由で国会に提出、審議、承認の仕組みとなっている、との説明もありました。

 ヨーロッパ等の公共放送は政府から独立した放送行政組織が会長の選任、経営を行っており、独立行政委員会は世界的な流れになっているそうです。

首都圏佐渡連合会
産業振興部会長 髙野 一久(会報誌:2023年5月)

#2/2 に続く