5月の端午の節句になると思い出すことのひとつが、新潟名物のひとつとして全国的に知られている笹団子である。私が子供の頃(昭和20年代)には、この時期には、必ず、ちまきとともに笹団子を作り、家族皆で味わったものである。当時は笹も植えられており、ヨモギは畑の端や川縁に生育していたので、団子に適した笹をとり、ヨモギを集めて団子造りに活用した。団子の材料であるもち米も生産していたので、安上がりに造ることができ、沢山造り長い期間味わうことができた。
笹、ヨモギはほのかな香りを持ち、防腐効果もあるので、かなり長い期間楽しむことができた。現金収入があまりなく、お菓子類を購入する余裕がなかった当時では、笹団子は貴重なおやつでもあった。現金収入も増え、お菓子類を購入することが容易になった現在、私の生家のあたりは、笹もほとんどなくなり、ヨモギは少なくなったことも手伝って、自宅での笹団子造りは行われなくなったようである。
時代の流れとはいえ、一抹のさみしさを感じるのは私だけであろうか。
この笹団子は、昔から造られていたようであるが、新潟土産として全国的に知られるようになったのは、1964(昭和39)年に開催された新潟国体の時からといわれている。新潟国体の折、創業1886(明治16)年の「笹川餅屋」さんが、県から「新潟土産となる商品を」と依頼され、笹団子を新潟名産として販売したのが、火付け役となったといわれている。
因みに「笹川餅屋」さんは、創業以来ずっと受け継がれてきた伝統の製法を守りつつ、甘さ等を時代にあわせて調整しながら製造してきているということである。現在は、「笹川餅屋」さんのほか、多くのお菓子屋さんが、いろいろ工夫を凝らして笹団子をつくり、新潟名産として全国に提供している。
笹川餅屋さんの公式HPはこちら
(前田 貞芳/新潟市北区出身 武蔵大学名誉教授:会報誌2026年5月号掲載)
