日本随一のヒスイの産地として糸魚川を有名にした小滝川ヒスイ峡。夏場は薄エメラルドグリーン色、秋は透き通る水面だ。小滝川ヒスイ峡は、昭和31年に「国の天然記念物」に指定された。その後ろに明星山(みょうじょうさん)なる大岩壁がそそり立つ。何度来てもそびえ立つ明星山の巨大な岩壁に圧倒される。

5月、小滝川ヒスイ峡

5月、小滝川ヒスイ峡
天然記念物に指定されているこのエリアでは岩石の採取は一切できない。ここから流れ出たヒスイは姫川を下り、海岸に打ち上げられる。その海岸に打ち上げられたヒスイであれば採取することが可能だ。そんな理由から この糸魚川の海岸はヒスイ海岸とも呼ばれている。ヒスイ海岸とは何ともお洒落な響きだ。

5月、明星山
明星山は石灰岩の塊の山であり、デンカ工場や明星セメント工場がある。両親は私が大学を卒業したら、地元に戻って青海デンカに就職して欲しいと切望していたものだ。

11月、高浪の池から明星山を臨む

11月、明星山
写真ではその雄姿を感じ取りにくいが、初めて見る人は圧倒的な雄姿に必ず感動する。大岩壁は夏場になるとロッククライミングをする人を見ることが出来る。小滝川を挟んで見えるロッククライミングする姿は、小さな虫が少しづつ動いているかのように見える。

5月、小滝川ヒスイ峡
小滝川の周辺は大きな岩が乱雑に位置しているだけにすぎない。しかし、この大きな岩は川の流れで磨かれ「ひすい」の原石なるイメージをところどころに醸し出している。この地面周辺にヒスイの原石であろう大きな岩石は眠っているのだろうか・・・。

5月、小滝川ヒスイ峡
このエリアの石灰岩からは、三葉虫やアンモナイトの祖先、サンゴなどの化石が出てくる。現地に来ると通りの壁面に埋まった化石が自然のままに置かれているのだ。これは大昔はサンゴ礁であったことを意味する。大昔 奥深いこの地は海底だったのだ。圧倒的な大自然のなか、まるで壮大なタイムマシンに乗って到着したようだ。
写真:渡辺 貴 / 案内:榊 勝彦