【投稿募集中】「父の日」によせて

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父への思いは誰しもそれぞれあると思います。たった一言でもかまいません。父へよせる一文を綴ってみませんか。県人会会員読者の皆さまのご投稿をお待ちしています。(6月1日号掲載)

投稿要項

①文字数:100文字~800文字
②テーマ:父
③画像:1枚(写真は返却します)

提出方法

4月30日(水)必着。
氏名、住所、所属(あれば)をご記入の上、郵送、ファックス、Eメール

提出先

台東区上野1-13-6 東京新潟県人会 事務局
FAX:03-3832-7639
E-mail:[email protected]

問合せ先

広報清水:090-5200-8735

山へ帰りゆく父 小川 未明 

「いまごろは、お父さんは、あの街道の松並木の下を歩いていなさるだろう…。」と、息子は、都にいて思っていました。

山には、せみや、ひぐらしが、鳴いていました。老人はもう多年この山の中に生活しています。道すがらの木も、草も、石も、またこの山にすんでいる小鳥や、せみや、ひぐらしにいたるまで、毎日のように、この山道を歩く老人の咳ばらいや、足音や、姿を知らぬものはありません。

父親が、街道を歩いていますと、電信柱の付近に鳴いているつばめは、「いま、お帰りですか。」と、いうように聞こえました。夕焼けの空は、昔も、今も、この赤い、悲しい色に変わりがありません。父親は、夕焼けの空をながめました。「よく、自分は、せがれの手を引いて、夕暮れ方、町から帰ったものだ。あの時分のせがれは、どんなに無邪気で、かわいらしかったか。あのせがれがいまでは、りっぱな人間になったのだ。私が、こんなに年をとったのも、無理はない…。」と、考えにふけったのでした。(本文より)

「日本児童文学の父」と称される小川未明。小説と童話の両方を書いていましたが、大正15年に童話作家に専念すると宣言。弱い者、小さな者、正直な者に希望を与えることを使命として1200 編を書きました。
n-story.jp/topic/146/ より)